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Apr 2, 2019

気がつけば魚がいた

昭和の朝
Photo & text by Takuya Hikita

1989年、私は父親の出身地である静岡県沼津市に遊びに来た。駿河湾という恵まれた海が一面に広がる立地に、私は幼いながらに興奮していた。今日、人生初めての魚釣りをする。そして、この日が人生にとって大きな転機になるとは、私も含めて誰も知らなかった。しかし、振り返ってみれば「疋田拓也」としての人生を決めたのは紛れもなく、初めて釣った1匹の「ネンブツダイ」だった。

「いただきます」それはとても深い言葉だ。「命を頂きます」、つまり食べるということに対する感謝の意味を表す。そのような語源を背景に持ちながら、現代では食事を出してくれた方への感謝の意味を表すようになった。

これから、12回に渡り「疋田拓也」として、魚との出会いから現在に至るまでの変遷をお話しさせて頂きます。そして、後半では併せて毎回1魚種についての簡単なお話しを見繕うという構成にてお話しを進めていこうと思います。

昭和の朝…… 焼塩サケは、ノスタルジックな聞こえがあるこの言葉にぴったりな気がします。記念すべき第一回は、「サケ」についてのお話しです。この魚を嫌いという方は非常に少ないのではないでしょうか。サケはアイヌ語で「夏の魚」を意味するという説もあるくらい、7~11月にかけて生まれた川に戻ってくるという習性を持っています。卵より生まれた赤ちゃんサケは川を下り、大海原へと泳いでいきます。そして、4年という年月を海にて生活し、4/5kgになって、生まれた川へと戻ってきます。成長した親サケは、海でエビ等の甲殻類を捕食し、身色が所謂「サーモンピンク」となります。これはアスタキサンチンという色素が身に蓄積され表現するものです。この抗酸化作用をも持つ物質は、川を上るサケにとって必要不可欠な存在です。それは「頂きますの精神」で食べる人間にとっても身体に良いものなのです。(サケについては、8月号「イクラ」の回でも登場予定です。)

 次号では春を告げる魚、「白魚」のお話です。それでは、引き続きお楽しみ下さい。ありがとうございます。

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Takuya Hikita
疋田拓也(Hikita takuya)東京都世田谷区出身、父親の実家である静岡県・沼津にて魚釣りをしたことから、すっかり魚の「とりこ」になる。大学時代は海洋学科にて魚類行動学・機能栄養学を専攻。築地魚市場㈱に入社後、セリ人として鮮魚・冷凍魚を取り扱う。その後、北米での原料買付・アジア向けへの輸出業務を経験。その後、2018年「TSUKIJI FISH MARKET Inc.」をバンクーバーに設立。モットーは「ニッチの強者」
Takuya Hikita

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