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May 6, 2019

絵物語に「ヒカリ☆」をみっけ

-フクロウからの学び「生を全うすること、愛するを全うすること」-

『かあさん ふくろう』
作:イーディス・サッチャー・ハード
絵:クレメント・ハード
訳:おびか ゆうこ
発行所:偕成社



Text by emily

この絵本は、息子がまだ保育園の年中だったころに、保育園から配付された案内で見つけ、妙に惹かれて注文した。
なぜか、「こどもに優しさを届けてくれそうな気がする」と直感的に思ったからだ。

この絵本は、まるでふくろうの生態を伝える本であり、
それなのに、
心が温かくなる。

不思議と優しくなる。
9歳になった息子は今でも読んでいる。
なぜか、読み返したくなるからだ。

起承転結があるような物語ではなく、
ふくろうの生態を、同じ色だけをつかった絵として紹介している絵本。
同じ色だけ、という展開のない単調さが、描写とマッチしている。

一年を通してふくろうの母親はどのように子どもを守り、
そしてまた、新しい命を育てているのか。
子どもたちは生まれてからどのように育ち、守られ、巣立ち、親になるのか。

その物語調の展開がないことが、
かえって読者の“感じる”や“考える”を生み出しているのかもしれない。

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かあさんふくろうととうさんふくろうは、ガやカブトムシ、小さなヘビの狩りが上手なこと、
ふくろうの目は正面にあり、めだまを動かすことができないが、頭はくるくる動かせること、
獲物を食べたあと、体の中で溶かせなかった獲物の骨や毛が詰まった黒いかたまりを吐き出していること、
ふくろうに襲い掛かるワシミミズクやアライグマを鋭いかぎつめでひっかいたり、くちばしをぱちん!と鳴らしておどかし追い払うこと、
木の枝から落っこちた雛が、少し飛んでは少し木をよじ登り、また飛んでよじ登り・・その様子をかあさんふくろうととうさんふくろうは近くでずっと見守っていること、
眠っていてもカラスやカケス、小さなとりたちに見つかると大勢で追い立てられること、
春から夏になり、子どもたちの羽毛が赤茶色の大人の羽に生え変わること、
ウッドチャックやネズミたちが冬眠するころも獲物を探し続けていること、
春になり子どもたちは自分の子どもをつくって一緒に育てる相手を見つけに自分の住むところを探すために飛び立つこと、
そして、新しい命を迎えること。

最後の一文は、以下の「」内だ。
春になったばかりのある晩に、かあさんふくろうととうさんふくろうは、卵を産む準備を始めた。もうすぐ古いりんごの木の巣穴で、新しい命が生まれる。
「前の春と、前の前の春と 同じように。」

———————————————————
私は、
この最後の一文にたまらなく惹かれる。
「前の春と、前の前の春と、同じように。」

日々は、繰り返しであり、
日々は、無常であり、
日々は、流れており、
流れる日々は、変えられないものであり、

日常を阻む、
天敵や天気、気候、環境や状況も、
そのものを受け入れ、

自分や自分が守る存在の、
生を全うする、
ただそれを、
抗うことなく、
続けている。

拘らず、
そしてまた、
繰り返す。

生を、
愛するを、
全うすることを、
続ける。

フクロウから学ぼう。
野生の動物や、生き物全てから、
わたしたちは学んだ方がいい。

「自分」をありのまま受け入れ、
自分の生を全うする、を受け入れ
状況に飲まれることなく、
腹に力が入っているような、たくましくしなやかな生き方ができるヒントがあると感じるからだ。

この絵本は、
「線のある絵」と「同じ色」の単調な絵で描かれ、
より「日常」や「生を全うする」ことの意味を際立たせ、
感動という感情に訴えず、
納得させる。

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emily

emily

ホテルマン・英会話学校マネージャー・大学助手の経験を経て、現在はキャリアカウンセラー・講師・イベント企画運営に従事。個人活動として「自分を知る」「解放する」「踏み出す」きっかけの提供を行う。幼少の頃から歌うことが大好きで現在は地域の音楽活動も行う。昔から夢からのメッセージを受けやすく、ある神社との繋がりを大事にしている。「楽しいこと」「魂が喜ぶこと」「表現・創造すること」が好きで感受性が強い。少し波乱万丈な人生を送っているシングルマザー。
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