Magazine
Aug 31, 2016

和なこと体験記

長月

~ 生け花で引き算の美学

Photo  & Text by Megumi Nishijima

megumi_4

「IKEBANA」と言えば、「JUDO」や「TEMPURA」と同様に、海外でも浸透している日本語。今月は、都内の某生け花教室にて、人生初の生け花を体験してきました。

先生は、草月流の師範であり、華道家として国内外で活躍するOさん。生け花には様々な型があるそうですが、今回は「基本立真型・盛花」に挑戦。もっともベーシックな型だそうです。

花材は

1)真(しん)/まっすぐと伸びる枝もの

2)副(そえ)/真よりやや短いサイズの枝もの

3)控(ひかえ)/花もの

の3種類から成り、この3つで骨格を作ります。私は真と副にキイチゴ、控にリンドウをセレクト。

まずは、水盆に剣山を配置します。

megumi_1

(写真だと剣山が右端にありますが、実際は左端に配置しました)

丸い剣山に三日月型の剣山をはめこんで、花を刺すスペースを調整します。丸い剣山を「日(にち)」、三日月型を「月」と呼ぶのだとか。こんなところも風流ですね。

真のキイチゴは、枝が力強く、まっすぐ伸びているものを選びます。一本ずつ手に取り、くるくると回して枝ぶりや葉のつき方を確認。何本か比べてみて、「これだ」と思う一本を選んだら、さらに伸びやかに見えるように、余分な葉を剪定し、形を整えます。

「間引くことで、その植物の美しさをより引き出します。日本文化は、引き算の美学なんですよ」と先生。切り落としてしまうと、もう元には戻せないので、想像力を働かせながら作業します。

「では、自分のおへそと器の中心を合わせて、剣山にまっすぐ刺しましょう」

丹田を器に合わせ、花の正面を自分の方に向けながら、まっすぐ茎を刺していきます。花と対話するように、一挙一動が、自然と丁寧に……。

真を刺したら、その手前に副を刺し、45度傾けます。

剣山に刺すときはまっすぐで、その後に手で倒して傾けるのですが、最初に「まっすぐ」刺すのもいいなぁと思う。正体(せいたい)の気持ちよさというのでしょうか。何かこう、自分の内にも芯が通る気がします。

そして最後に、右端に控のリンドウを。これは75度傾けるので、ほぼ寝てる感じ。

さて、これで骨格が整いました。

megumi_2

最後は、「茂り」といって、葉っぱやお花を配置して剣山を隠す作業です。剪定で切り落とした葉も、ここで利用します。なんてエコ〜。

茂りに関しては特に決まりがないので、フリースタイルで。おのおの自由演技です。私はせっかくなので、ガーベラも使って華やかさを出してみました。

こちらが完成形。なんだか意外と、様になった気がします。

megumi_main

先生の講評:「素材のシンプルさが活きていますね。最後に、真の葉を一枚間引いたことでより空間が生まれ、印象的な作品になったと思います。器との相性もいいですね」

最後に先生に、気になっていたことを質問してみました。

「日本の生け花と、西洋のフラワーアレンジメントの一番の違いはなんですか?」

「そうですね。フラワーアレンジメントは装飾の意味合いが強いですが、生け花の場合はそこに自分を投影し、想いを乗せるところ、でしょうか」

己と向き合い、その内側を、花を通して表現する。静かで透明な世界に焦がれ、そこへ到達しようとした先人たちに、シンパシーを感じずにいられません。

生け花は、続けてみよう。

お花に触れることは好きだし、やっぱり楽しいもの。

持ち帰った花材を早速自宅に飾りながら、そう思ったのでした。


今月の教訓:勇気を持って、引き算を


 

The following two tabs change content below.
Megumi Nishijima

Megumi Nishijima

文筆家、編集者、ヨガインストラクター、数秘リーダー。東京在住。 自分軸で豊かに生きる大人のためのコミュニティ「hatobaの会」発起人。幼少期より物語や言葉の持つ力に惹かれ、現在は出版業界に勤務。25歳でヨガを始めたこときっかけに、心・体・たましいのつながりに興味を持つ。「地に足のついたスピリチュアル」をテーマに、五感で感じたことを大切にしながら、自分の思いや体験を綴っている。
Megumi Nishijima

最新記事 by Megumi Nishijima (全て見る)

Comment





Comment