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Jul 1, 2018

写真の薬局

海の腕

Photo & text by Emu Goto

yakkyoku

波の音にさそわれて

石場のぎりぎりまで歩いていった

満ち潮にむかっている波はひと波ごと大きく寄せる

座って目を閉じると

波の音が大きな腕で私を抱きしめてくれる

海のループのなかにいるよう

波の音はしだいに大きくなり

足下に海水がかかる

このまま目を閉じていたら

すっぽりと360度の海のなかに

入っていくようだ

寄せて返す波音と静寂のコントラストは

善と悪をわけている境目を打ち砕く

何が善で何が悪なのか

どれが本当の愛で

どれが違う愛なのか

すべてのジャッジが取り去られて

ただ私は自由という海にしずんでいく

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Emu Goto
写真家 東京都出身。文化学院の文学科在学中よりPR紙の制作に携わり、卒業後は(株)マガジンハウスの特約記者となる。同社で『an an』,『Hanako』などのライターや編集を手がけると共に、大手企業対象の広告アートディレクターとしても活躍。旅行で立ち寄ったバンクーバーが気に入り‘98年より渡加、当地で写真と出会う。現地の写真学校 Focal Point Vancouver Photographyで写真を学び、数多くの写真展を開催している。中でも、“ミスティ・アイランド”の愛称を持つハイダ族のふるさとクイーンシャー ロット諸島(ハイダグアイ)の幻想的な自然をとらえた写真展「The Voice of Queen Charlotte」は好評を博した。 スピリチュアルな視点で被写体を切るフォト・ライターとしての活動も続けている。
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