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Jun 1, 2019

頭蓋骨調整への旅

〜ボルダーでの人体解剖研修〜
Photo & text by Tadahiro Koto

何とも言えない気持ちになる瞬間。
それは解剖室の前に立った時に感じる無に近い感覚。
そう、今年も解剖研修にやってきた。

毎年ある団体が主催してアメリカへの解剖研修が開催されるのだ。
昨年も参加して本当に勉強になったので昨年はどのセミナーでも解剖の素晴らしさを説いていたところ教え子が3人も参加してくれた。

教え子達と一緒に研修というのもなかなか良い経験。

毎日朝9時から10時までは座学。
10時から17時まではひたすら解剖に向き合う。
昼休みはコーヒーなどを買いに行きつかの間のアメリカ気分。

そして午後からもひたすら解剖に向かう。

解剖学者トッド・ガルシア先生の神業的なメス使いを間近で見れるだけでもコロラドまで来た甲斐があるってもんだ。

この研修に参加するきっかけはある本だった。
アナトミートレインという我々の業界では大変有名な本がある。
著者はトム・マイヤースというアメリカ人の先生。
以前この本の理論が大変ユニークでその世界に引き込まれてしまったのだ。

そしてこの研修はそのアナトミートレインの著者であるトム・マイヤース先生とラボの主であるトッド・ガルシア先生おふたりの世界観を感じる時間でもある。
昨年はそのふたりの世界観を見せつけられその圧倒的な知識、技術力には驚愕させられた。


我々整体師はレントゲンで体の中を見ることはできない。
しかしイメージで自分の頭の中でその映像を作ることはできる。
それには実際に中を見てみないことには始まらない。
そのための人体解剖だ。

もちろんこんな経験は世界中の誰もができるわけではない。

特にこの研修ではそうなのだ。
これはどういう意味か?

献体もよくあるホルマリン固定のものではなく冷凍の献体での解剖実習だからである。
つまりホルマリンで固めていないので解凍したあとは関節が動く状態なのだ。

皮膚も柔らかいまま。

全ての組織が生きている人間に近い。

授業中も「とてもstrangeな経験」であると両先生もおっしゃっていた。

まさにその通り、我々の業界の中でも0.0001%にも満たない人しか体験できないとても貴重な経験だ。

皮膚、脂肪組織、筋肉、内臓、関節、靭帯、筋膜、骨。
それぞれを解剖しながらじっくりと観察していく。

内容は気分が悪くなる方もおられると思うので割愛させていただくが去年に引き続き本当にいい勉強をさせてもらった。
このお話はまたセミナーや講演会などでお話できればと思います。

初日はとても天気が良く20℃くらいあっただろうか。
しかし3日目からはマイナス7℃雪が降ると言う過酷な気候であった。

日本から40数名、中国と台湾からも10数名参加し英語、日本語、中国語が飛び交う研修。

国籍問わず誰もがとても熱心に研修に参加している。

日本だけにいてなんとか療法をマスターしたとか協会に入って満足している場合ではない。

この仕事はテクニックありきではない場面のことの方が多い。

人の体への知識、興味が先立つようにならないとやっていけないと思うのだが。。。

おかげさまでこの研修の後はいつもより人体を観る目ががくっきりとしている。充実の研修は5日間続いた。

帰国してすぐにまた来年の解剖研修を申し込んだのは言うまでもない。

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KotoTadahiro

KotoTadahiro

1971年東京生まれ。大学卒業後2つの会社、フリーライターなどの経験を経て26歳の時に直感的に整体業界へ。 整体の専門学校を卒業後5年で6か所にて修行。 2004年横浜市日吉にて独立開業後自由が丘、奥沢にてサロンを展開。 2016年屋号をK-styleから整体サロンSolecka(ソレシカ)に変更。 頭蓋骨の研究を始めて約10年。独自の頭蓋骨調整法で全国よりクライアントが集まる。施術家向けのテクニックDVD作品を出すのと同時にコトー流の整体をマスターした療術家を育てるべくセミナーを12ブランド展開して後進の育成に努めている。
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