Magazine
Aug 3, 2019

気がつけば魚がいた

ウナギ
Photo & text by Takuya Hikita

幅広い専攻をする過程で彼が一番興味を持った分野は「漁業学」分野であった。そして、ここでの視座が彼にとっての3つ目の出会いを創る。1つ目の出会いである「ネンブツダイ」、2つ目の出会いである「漁業学」となるが、この広きに渡る漁業分野において彼は「定置網漁業」を専攻した。定置網漁業とは数ある漁法の中でも極めて歴史の古い手法の一つで、沿岸域に漁網を設置し、海流や海底起伏を加味しながら、魚を受動的に誘導・漁獲するというものである。トロール網等の魚を追い回す漁法とは異なり、魚が泳いでくるのをただただ待つという非効率な漁法が故、持続的生産が可能な手法だ。

春はタイ類・メバル、夏にはカツオ・アジ等、季節に応じた魚が様々漁獲される。と同時に商業的価値のない魚や網揚げ時に傷の付く魚なども生じてしまう。これを肥料等にするのであればまだしも、海洋投棄してしまうケースも多く見受けられる。やはり船倉には限りがある為、より高く売れるものが優先される。こういった投棄される魚を「投棄魚」といい、その割合を「投棄率」と表現する。一操業当たりの投棄率をどうしたら減らすことが出来るのかという研究を彼は専攻していた。極めて専門的であり、かつ非常に大切な事だと感じていた。

捨てられる=どういう事だろうか・・彼は調査の中で投棄魚サンプルを収集し、分析していった。その結果、投棄魚の割合は漁獲量の2-12%で、基本的には食べられるのに捨てられている魚がほとんどという事が分かってきた。どうすれば、こういう不遇な魚たちを減らすことが出来るのだろうか。毎週のように都内から伊豆半島まで通い、漁師と苦楽を共にし、暑い日も寒い日も漁に同行、彼の地道な研究は進んでいった。

***********************************************************************

ウナギ・・夏になると、日本では量販店に「土用の丑の日」ののぼりと共にウナギが並びます。都内だけでもウナギ料理店が900軒もあるくらい、日本人はウナギが大好きです。まず、「土用」は立夏・立秋・立冬・立春直前の約18日間の「期間」を示す言葉です。そして、昔の暦では日にちを十二支(子・丑・寅・卯…)で数えていました。

つまり”土用の丑の日”とは、土用の期間におとずれる丑の日の事を指しているのです。夏痩せにはむなぎ(ウナギ)を食べると良いと万葉集にも歌があるくらいです。昔から体調を崩しやすい夏にはウナギを食べて栄養をたっぷり摂ろうという考えがあったのですね。土用の丑の日は季節の変わり目にあたる為に体調を崩しやすいので、合理的と言えます。実際、ウナギにはビタミンAやビタミンB群など、疲労回復や食欲増進に効果的な成分が多く含まれています。夏バテ防止にはピッタリの食材いえるでしょう。次回は「イカ」のお話です。お楽しみに。今回もありがとうございました。

★バンクーバーで築地直送の宅配サービスをご希望のかたへのご案内です。

The following two tabs change content below.
Takuya Hikita
疋田拓也(Hikita takuya)東京都世田谷区出身、父親の実家である静岡県・沼津にて魚釣りをしたことから、すっかり魚の「とりこ」になる。大学時代は海洋学科にて魚類行動学・機能栄養学を専攻。築地魚市場㈱に入社後、セリ人として鮮魚・冷凍魚を取り扱う。その後、北米での原料買付・アジア向けへの輸出業務を経験。その後、2018年「TSUKIJI FISH MARKET Inc.」をバンクーバーに設立。モットーは「ニッチの強者」
Takuya Hikita

最新記事 by Takuya Hikita (全て見る)

Comment





Comment