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Oct 3, 2019

写真の薬局

時の贈り物
Photo & text by Emu Goto

そこにあったのは不思議な店だった

銀座通りの大きなファッションビルの隙間に挟まれて

ほとんどの人が所在も気づかずに通り過ぎる

中に入るときちんとパイプが飾られていて

もう随分前からその配置が変わっていないように思えた

外観も店内も時代の流れに置き去りにされている

極端に安い値付けと品質の高さが両極にあり

私を伴った連れはここでの思い出を

語り出し 時間は逆に回りはじめ

皮膚の感覚と脳が奇妙なシンクロをして

私は軽いめまいを感じる

どれくらいの時間が経ったのか

あたりの空気はサラサラと音を立てて

足早に時代を遡る

気がつくと私は

私は彼が中学生の時にお祖父さんのお誕生日に買ったという

コーンパイプを手にとっていた

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Emu Goto
写真家 東京都出身。文化学院の文学科在学中よりPR紙の制作に携わり、卒業後は(株)マガジンハウスの特約記者となる。同社で『an an』,『Hanako』などのライターや編集を手がけると共に、大手企業対象の広告アートディレクターとしても活躍。旅行で立ち寄ったバンクーバーが気に入り‘98年より渡加、当地で写真と出会う。現地の写真学校 Focal Point Vancouver Photographyで写真を学び、数多くの写真展を開催している。中でも、“ミスティ・アイランド”の愛称を持つハイダ族のふるさとクイーンシャー ロット諸島(ハイダグアイ)の幻想的な自然をとらえた写真展「The Voice of Queen Charlotte」は好評を博した。 スピリチュアルな視点で被写体を切るフォト・ライターとしての活動も続けている。
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