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Nov 4, 2019

気がつけば魚がいた

サンマ
Photo & text by Takuya Hikita

彼は、自らの視座を「現場」に置く意味を「強み・差別化」へと将来活用していくことになる。毎週の漁業研究において、彼は現場というものの重要性・変動性・非効率性に気が付き、現場での意味合いをより深く考えるようになった。

大学卒業後の進路に関しても、そういった意味合いで「現場主義であり個の能力を高めるような企業」への就職を決めた。“築地魚市場㈱”は築地市場において水産物卸売業を行う老舗企業であり、セリ業務を行う会社だ。2009年4月入社、彼は鮮魚部高級魚グループに配属された。

80年前の建物だが、彼には全てが新しく見えた。1日の水産物の取り扱い20億円、450魚種類にも及ぶ水産物の数々。その中で高級魚グループはタイ・ヒラメ・サワラ等、特に白身系の上物(じょうものと読む)を取り扱い、絶えず20-30魚種を流通させていた。また、その顧客はグループの名前に恥じない老舗寿司屋や名門ホテルであり、「築地の目利き」達の最前線であった。朝0時半、まだ肌寒い春先の市場、ピカピカの長靴を履き、はじめての現場に入った。築地では毎朝セリによる販売が行われ、価格が需要供給のバランスにより形成される。「よし、疋田・・じゃあこの天ダイを良い順に並べろ」、出社初日の彼に上司より指示が出た。「そもそも天ダイって何だ?あー天然物のタイの事か!でもタイを良い順に並べる?同じような色・大きさの物じゃないか。えっと・・どこに差があるんだ」どういう基準かも分からず、何となくの感覚で並べててみた。「〇〇さん、出来上がりました!」それを見た上司は眉を顰めた。どうやら納得のいくものはないらしい・・何も分からない彼にもそれだけは伝わってきた。上司は言葉を発さず、無言で並び替えを始めた。一瞬にして魚を判断し、順番を入れ替える。その目利きに迷いは感じられなかった。そして、上司は一言も喋ることなく、サッと別の仕事に移っていった。「何が違うんだろう。どこを見てるんだろう。」彼の疑問に上司はただひたすら、行動のみでしか教えようとしなかった。「俺の魚を見ろ」そういう強い雰囲気だけが伝わってきていた。

本日は引き続き、秋の主役「サンマ」ですね。塩焼きにして、最後にすだちをかけて食べる。これ程、ウマい物はないというくらいです。さて、サンマに関してはニュースにもよく取りあげられていますが、水揚減少であったり外国船の問題であったりと話題に絶えません。最近では中国・韓国・北朝鮮や東南アジア諸国でもサンマがブームとなり、日本の沖合の公海上にて大規模漁獲を行い、近海操業がままならないという状況まで起こってきています。本当に公海上漁業による影響なのか、資源量の減少なのか・・真相解明中ではありますが今後のニュースが気になるところですね。では次回は、ブリについてです。お楽しみに。

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