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May 31, 2021

気がつけば魚がいた

「正しいから正しいを選ぶ難しさ」

Photo & text by Takuya Hikita

〈前号のダイジェスト〉

貝類買付において難しいことは、中国産アサリは日本向けに輸出できるが北朝鮮産アサリは輸出出来ないこと。北朝鮮産は中国産に比べて安価な為、黙っていたら中国加工業者は混獲を理由として悪いことをしてくる。これしたことを考慮するのが、現地駐在員の求められる資質である。日本帰国後、商社に目をつけ、JFC(キッコーマン子会社で世界に調味料販売をしている)は醤油と魚といった親和性も良いと考え、最初に連絡を取ってみた。

〈前号より続く〉

関係性の副産物(大使館交流会で直接的には売上や利益に繋がらないが、結果として機略縦横の働きをする)が帰国後の活動を通じて多く見受けられた。一社ずつの議事内容は掲載することは出来ないが、結論として「世界に築地を自分が売りに行く」という考えに至る、上記JFCとのミーティングにおいて感じたことをもう少し深堀して続けておこう。

「世界に築地を自分が売りに行く」ということにおいて大切なことが大きく分けて2つある。まずは「日本法人(以下A)と現地法人(以下B)の連携」、次に「A内での横断的コミュニケーション」という点だ。A社長はAでの利益最大化を目指し、B社長もBでの利益を最大化したい。そうした思惑の中で商流がA⇒Bであれば、“Aは高く売りたい。Bは安く買いたい”となりAB両社の利益は反する。人間の心理からすれば当たり前の行動であるが、これは本当に日本でも世界でも多く起こっていると感じる。時にこういった事態を決済者責任の「ヒューマンエラー」として理解する最高経営責任者もいるが、これは表現を変えるとすれば「システムエラー」だと感じる。

その事態を防ぐ為には、二つの責任者(=この場合は業績を管理する役職者)が同じで、どちらで販売利益を残せば、企業として最終利益が最大化するかという点に意識を向ける必要性がある。ただ企業が大きくなればなるほど、これは難しくなることが予想される。2国間であればまだ良いかもしれないが、3つ4つと地域展開すればより細かい役職や決済者が増えてしまう。結果、前述した「自己領域を守り、かつ最大化をする」ことが生まれてしまう。ではどうすれば良いのだろうか?これについては業界や業種によって、やはり色々な考察があると思う。私の2021年5月現在の業界環境における考え方としては、「あまり1つの事業だけを大きくし過ぎない。費用を分散する意味を込めて、小さい事業を組み合わせる。そして最終利益を最大化させる」を暫定的正解としている。拡大はコストを下げるが、同時に上述したような各問題を比例させてしまうからだ。

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Hikita Takuya

Hikita Takuya

疋田拓也(Hikita takuya)東京都世田谷区出身、父親の実家である静岡県・沼津にて魚釣りをしたことから、すっかり魚の「とりこ」になる。大学時代は海洋学科にて魚類行動学・機能栄養学を専攻。築地魚市場㈱に入社後、セリ人として鮮魚・冷凍魚を取り扱う。その後、北米での原料買付・アジア向けへの輸出業務を経験。その後、2018年「TSUKIJI FISH MARKET Inc.」をバンクーバーに設立。モットーは「ニッチの強者」
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