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Jul 1, 2021

気がつけば魚がいた

「移り変わる」

Photo & text by Takuya Hikita

〈前号のダイジェスト〉

「世界に築地を自分が売りに行く」ということにおいて大切なことが大きく分けて2つある。まずは「日本法人(以下A)と現地法人(以下B)の連携」、次に「A内での横断的コミュニケーション」という点だ。A社長はAでの利益最大化を目指し、B社長もBでの利益を最大化したい。そうした思惑の中で商流がA⇒Bであれば、“Aは高く売りたい。Bは安く買いたい”となりAB両社の利益は反する。

〈前号より続く〉

私の2021年5月現在の業界環境における考え方としては、「あまり1つの事業だけを大きくし過ぎない。費用を分散する意味を込めて、小さい事業を組み合わせる。そして最終利益を最大化させる」を暫定的正解としている。拡大はコストを下げるが、同時に上述したような各問題を比例させてしまうからだ。

日本では約3000種の魚が生息しており、市場にはその中で約300種が集まり、主要種類としては約100種類が常に流通している。では他国においてはどうなのであろうか?そもそも生食をするという概念で漁獲しているエリアはごく一部に限らており、その中でも日本と比較すれば主要魚種も少ない。日本は魚食文化が発達しているとよく言われるが、これは紛れもない事実だと、各国における漁業や市場を視察して感じた。

市場というものは、世界にも存在するが、中央卸売市場や地方卸売市場といった体系的な概念で運用されているのは、良い意味も悪い意味も込めて日本だけに感じる。また、その源流となる考え方が「セリ」による販売方法である。たしかに市場流通量が減った現在においては、市場というものの在り方について議論される事が多い、これについてはまた別の機会にしたい。

さて、ここまでは私自身が「疋田拓也」を彼と表現し、幼少期から築地前編である鮮魚セリ人時代、そして築地後編となる貿易を中心とした商社業務時代についてと話が移り変わってきた。そこで、日本から魚を輸出するという事を主題に「世界に築地を売りに行く」という観点でお話し、結論そこには大きくわけて課題が2つあるように感じる。1つ目は分かりやすい事で「文化の壁」、2つ目は分かりにくい事で「発信者と受信者のアンバランスでミスマッチな関係性」である。今後この2つに課題に対して、どのように対峙するのかという点について提唱し、疋田拓也としての現在から未来へと話を進めていく。

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Hikita Takuya

Hikita Takuya

疋田拓也(Hikita takuya)東京都世田谷区出身、父親の実家である静岡県・沼津にて魚釣りをしたことから、すっかり魚の「とりこ」になる。大学時代は海洋学科にて魚類行動学・機能栄養学を専攻。築地魚市場㈱に入社後、セリ人として鮮魚・冷凍魚を取り扱う。その後、北米での原料買付・アジア向けへの輸出業務を経験。その後、2018年「TSUKIJI FISH MARKET Inc.」をバンクーバーに設立。モットーは「ニッチの強者」
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